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--コミュニケーション技法を学ぶことって、難しいのでしょうか?

松村:医療におけるコミュニケーションの基本技法というのがありまして、ポイントを理解し、慣れれば基本技法はそう難しいことじゃないんです。例えば、早い時間から患者さんを質問攻めにすると大切な情報が出てこなくなってしまうので、90秒間ほどは黙って患者さんに一方的に話をしてもらうとか、患者さんの病気や医療、薬に対して考えていること(解釈モデル)をかならず聞き出し、それを否定せず受け入れるとか、いくつか原則がある。ところが、多くの先生たちはそういうことを全く習わず、自己流でやってきているので、しらないうちにクセがついてしまい、それを直すのは実は非常に難しいんです。
口の聞き方や態度などは、患者さんが嫌だと思ったらもう来院しないのでフィードバックがかからないし、第三者から指摘を受けることもほとんどない、他の先生の診察を見る機会もないので、なかなか自分では気づけない。実際、受講された方で、気づかなかった自分のクセがビデオを見ることで明確になったという人は多いですね。

このコースでは、12分間でどれだけ効率良く診療できるか教育しているのですが、受講することで、短時間により多くの患者さんに対応する能力が高まる、同じ時間でも患者さんから得られる情報が多くなり、結果として診断能力が高まるというように、スキルアップを図れるよう工夫しています。患者さんに満足していただければ次回の来院にもつながり、患者さんを集められるということにもつながるわけですが、むしろ私たちはよい診断につながり、よい診療につながるほうを重視しています。いいお医者さんは、いい耳(患者さんのことをよく聞く耳)を持っているんです

--確かに、患者という立場で言わせていただくと、人当たりのいい、話しやすいお医者さんの方がお世話になりやすいです。

松村:かと言って、医療面接が上手で患者さんの情報をうまく引き出せたとしても、最終的な病状の診断やその後の治療が上手でなければ、ベストな診療とは言えません。コミュニケーション能力と身体診察や治療の腕は、医師にとって両輪なんです。これまでは、患者さんの満足度は二の次で、医学的に必要な情報を集めることに主眼が置かれすぎていました。開業医だと患者さんが離れてしまうので、コミュニケーション力が欠けていることに気づけるでしょうが、病院勤務の先生はなかなか気づかない場合も少なくないと思います。コミュニケーション能力と身体診察や治療の腕とは、医師にとって両輪なんです。医療の質というのは、テクニカルなものとインターパーソナル(人間的)なものがあるんですが、腕が悪いと長期的に見るとBadだけれど、短期的にはOKな場合もあるでしょう。一方、人当たりが悪いと短期的に見てそれだけでBadなんですよね。また、どんなに人当たりが良くても、一度診断ミスがあったら、その患者さんは来なくなってしまうでしょう。ここで指導していることは、診断ミスをしないためのテクニックでもあるので、非常に大事なんですよ。

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